ShibaDog

自動車メーカーエンジニアのブログ

欲しい車が無い,という時代に突入している.

ShibaDogです.

 

欲しい車が無い

というか,これだ!という車が見つけられないでいる.

 

欲しいなあって思う車は結構ある,下につらつらと種別ごとに分けて書いてみた.

 

正直ここ最近,付加機能が増えすぎて,何がどうなってどれくらい便利で快適な装備になっていて,それがそれに見合った価値になっているのか,がピンと来ない.

 

確かに昔よりはエクステリアも,インテリアも,動力性能も,最近出てきた安全技術や,運転支援技術も,どれも魅力的ではあると思う.

 

ただ何が言いたいかと言うと,確かに技術は良いのかもしれないけど,一般ユーザーにとっては技術自体の良し悪しはあまり関係無いはずなのに,技術を全面に押し出しすぎだと思う.

 

いや逆に言うと,昔からそうだったのかも知れないが,今の時代はそれじゃダメなのかもしれない.

 

これは批判では無いが,「技術の〇〇」と広告を打っている会社があるが,個人的な感想としては,「その技術はどう僕の生活を楽にしてくれるの?」と感じているのである.

 

もっと"車"としてと言うかシンプルに「この車に乗ればこんなに良い事がありますよ!」,というようなストーリー的な説明が欲しい.

 

と言っていても仕方が無いので,今自分はどんな車に乗りたいか,を整理したみたいと思う.

 

久しぶりにマニュアル車

に乗ってみたいなとは思う.僕は18-19歳の時,最終型のプレリュード(5速マニュアル)に乗っていて,それが最初で最後のマニュアルだったが,2.2L220Psは本当によく走ったと思う.

ホンダ・プレリュード - Wikipedia

 

当時は若者ミニバン全盛期だったので,スポーツカーに乗っていることに若干引け目を感じてはいたが,今思い返すと本当に乗って良かったと思う.

 

当時はやはり上記の様に言っている僕自身も,「運転して楽しい」が強かった時代であったので,Gがかかる加速や上手なコーナリングやシフトチェンジ,を楽しんでいた.

 

それはまさに自分の要求通りの車であったからである,と思っている.

 

その後,オデッセイ→エリシオンプレステージ→フィット3ハイブリットと今考えると微妙なチョイスな車を乗り継いできたが,プレリュードが一番いい体験ができたと思う.

 

でも毎日シフトチェンジするのは面倒くさい.坂道発進とか出来るよ?出来るけど毎回ちょっと不安になるのはもうごめんだ.

 

でももし乗るとしたら,S2000が良いかなと思っている.理由は格好良いから笑,フロントリア共にデザインが好き.理由が少ないが,それくらい自分の中で優先度が低い.

ホンダ・S2000 - Wikipedia

 

 

人数が乗れて荷物が沢山詰めるSUVやミニバン

正直ミニバンはもう2度と乗らなくて良いかと思っている,理由はデザインの良い大型SUVがどんどん出てきているから.

 

エリシオンを乗っていた時は,子供も小さかったことからスライドドアは良いなーと思っていたのだけど,実際開閉式ドアでもそこまで困らないのではと最近は思っている.乗車人数も7人乗りSUVがどんどん出ているので,最悪子供送迎イベントが発生したとしても,文句も言われずに済む.

 

正直走りは良いと言った意見も沢山聞くが,走りにはそこまで期待していない.

 

あの重くて重心の高い車体で飛ばしたりするつもりは無いし,重いながらも踏めばそこそこ頑張って走ってくれればそれで良い.

 

走破性もいらない,走破性のある雰囲気で街中を颯爽に走れればそれで良い.

 

MAZDA CX-8 スペシャルムービー 2017年9月~

 

そして何より繰り返しだけど,SUVのデザインが良い.

 

ミニバンはどうやってもミニバンなのだけど,SUVはデザインを捨てていない.

 

Mazda CX系が良い例だと思う,個人的な主観だけどあれだけ格好良ければ,一度は乗ってみたいと思う.

 

アクティブセーフティ技術

が搭載された車はどうか?これはたぶん外せない,最近自動運転の情報が入る様になったからか,運転が少し散漫になってきている様な気がしている.未だに公道では無事故を継続しているのだけど,少しでもリスクを減らしたい.

 

以前,自動車の心理研究?をやっている教授の話を聞く機会がありその中の話で,「人が取るリスクレベルはそう変わらない,例え車側の安全技術を高めたとしても,人はこれまでと同じリスクを取り続ける傾向にある」と言っていて,なるほどと感じたのだが,それでも現状抱えているリスクは減らしたい.

 

僕は僕が無事故を継続していることから,ある程度予知予測運転をしっかり出来ていると思っているけれど,やはり運転に集中していない瞬間を感じる時が多々ある.

 

もう恐怖しかない,誤って人を轢いてしまった日には,後悔してもしきれないと思う.

 

下のリンクで本の様にまとめたものにも書いているが,

 

www.shibadog6721.com

 

よくよく考えると,車は物凄くリスクの高い移動手段だと考えている.

 

車が無ければ移動が不便だ,という車所有者の共通認識があるから成り立っている様なもので,もっとリスクが低く車と同じくらい利便性のある移動手段が存在していれば,そっちの方が良いに決まっている.

 

当たり前の事を言っている様に聞こえると思うが,正直そのリスクをしっかり認識していないドライバーが多すぎると思う.止まれはしっかり止まらないし,見通しの悪い交差点を青信号だからと減速もせず通過しようとする.

 

自分が注意していればリスクを低減出来るのであれば,何の問題も無いが,周囲環境からのランダムなリスクがある以上,一定以下のリスクには出来ない訳で,そういった角度からでも今の安全技術はとても欲しい.

 

www.hyper-personal.com

 

と言っても先に言ったように,車による安全アシストが人がとろうとするリスクに実際のところどれくらい影響させるのか,を体感してみないとわからないので早く体感してみたい.

 

ので,次購入する車は安全技術も考慮に入れる事は決めている.

 

内燃機関車かハイブリッドか電気自動車か

以前の記事で電動化は先進技術では無いと書いてみたものの,あの加速感と静粛性は正直内燃機関を凌駕してしまっているのは事実だと思う.

 

shibadog.hatenablog.com

 

ただやはり充電や走行距離がネック,よく簡単には生活レベルは下げられないと言うが,内燃機関車の給油時間や走行距離から劣ってしまうとなると,どうしても不便だなと感じてしまう.

 

充電時間の短縮,バッテリーの大容量化,もしくは無線充電によるブレークスルーがあれば変わるとも思うが,まだまだ先の話だと思う.

 

じゃあハイブリッドは?もう乗っている.他のハイブリッドをあまり乗り比べたことはないから比較しづらいが,正直もうハイブリッドは無いかなと思っている.

 

やはりパラレル式は運転がしづらい,運転がしづらいと言うかエンジン⇔モータ切り替え時のギクシャク差や音の変化がどうしても体感として伝わってくる,これが未だに結構気になっていてしんどい.もっと楽に運転したい.

 

だからこれは正直決め手があまり無い.安心と利便性がちょっとだけ優位な内燃機関か,性能と未来感の完全電気か,いづれかの2択かな.

 

自動運転は絶対良いよね!

絶対良い!これは外せないと考えている.実際のところ,人が介入する必要の無い完全自動運転であるレベル4が運用出来るようになるまでは未だ未だ時間が必要で,これからの数年は中途半端なレベル2や3程度が現実的だと思うが,それでも例えば高速道路が自動運転になるだけでもかなり変わると思う.

 

安全技術でも書いたが,車の運転は実はかなり高いリスクだし,時間的な脳の処理的なコストもかなり高いと思っている.それを少しの間だけでも代行してくれるのは,かなりの価値があると思う.

 

少しの時間ではあるが,運転席で出来る範囲の何か他の事が出来るし,同乗者との会話も会話に集中できる,そしていつも運転者ばかりが被ってきた損がある程度軽減される.

 

しかしながら,本当に安全なのか?といった,自分がしていない事は信用できない,助手席には乗れない,みたいなタイプの人間にとっては,かなりの不安があると思う.

 

実際僕も多少の不安感みたいなものはあるが,それよりも興味好奇心が上回っているので,必ず選択したいと思う.

 

 

 複雑的過ぎて選択に悩みすぎてしまう

色々思いついたことを書いてきたが,付加機能の多さや必要性が判然としていなくて,複雑的過ぎていると感じる.

 

少し前まではエンジンの性能が良い,足回りを含めた走りが良い,荷室が広くていいよね,スライドドアが良いよね,など自分にとっての価値を定めることに,そこまで複雑さが無かったと思う.しかし今は付加機能,付加価値が沢山あり,自分にとって何がある事が価値を最大化できるのか,を決める事がもの凄く難しいと感じる.

 

そしてもう少し掘り下げると,今の車はいかに効率的に安全に移動出来るか,ということに結構な重心でシフトしているのだと思う.

 

今までは車で走る事自体が楽しみ所謂走る喜び,みたいな感情的な所が重要で,だから性能だったり車としてのデザイン性が求められていたけど,

今はより効率的に安全に目的地まで移動できるか,そういった方向に車というモビリティが向かっている,車という製品がよりインフラにに近づいているのでは,と感じる.走って何かを得ることが主体なのでは無く,効率的安全に目的地へ移動する,が主体に移り変わっていると思う.

 

自分自身の体感としてもそうだし,一般的なユーザーも大部分がそうなってきていると思う,各社もいまだキャッチコピーで言っている「走る喜び」的な概念を感じている購買層はもうかなり少数派なのではないかと.

 

車というモビリティに対する視点を変える必要がある 

のでは無いかと考えている.買う側は,より楽に,より便利に移動できる為のインフラだという視点でこれからの車というモビリティを選んでいく必要がある.

 

 そして売る側もデザインだ性能だ技術の良さだ,を1点1点アピールするのでは無く,「この車を買うとこんな未来が待っています,こんなに楽になります」を先に言った「目的地で何かすること」と組み合わせてもっとこう抽象的にアピールすることが必要なんじゃないか,と思う.

 

そういう買う側のインサイトの変化があるとすれば,売る側はその変化に気づいていかないと買う側の欲求を満たせないかもしれない.

 

あくまで主観的で最後は少し強引にまとめましたが,あくまで個人的な考えである.

 

が実際はこういった変化が起こりつつあると感じているので,買う側としても作る側,売る側としても,何をどうすれば自分にとって相手にとって価値が最大化するのか,の考え方を刷新していく必要があると思っている.

 

車の変化,そういう本を書いてみた

そして繰り返しですがここで書いてきた事を,本の様にまとめています.

興味があれば見てみてください.

 

shibadog.booth.pm

 

以上.